研究内容

自動運転のためのミリ波車載レーダのための人体検知

研究背景と研究目的

自動運転での人への衝突回避は喫緊の課題です.特に光学センサが視認できない領域(見通し外,悪天候下)で適用可能な, マイクロ波・ミリ波イメージングが有望とされています. 特に人間は歩行運動等において、各部位で動きが異なり,それをマイクロドップラとして観測することで, 高精度な人体識別が可能とされています. これを実現するためには,非常に高いドップラ速度分解能(0.1m/s以内),時間分解能(100 msec 以内)及び 距離分解能( 1cm 程度)を同時に実現する必要がある. 一方で,従来のフーリエ変換等に基づく信号解析法では, 特に低い周波数側で上記の速度分解能と時間分解能を実現することは, 極めて難しいことが示されています.

従来の時間・速度分解能を超える距離・ドップラ速度推定法及び画像化法との統合

上記の問題を本質的に解決するため,本研究室ではRPM法の原理を応用して, Range-τ点と呼ばれる離散点を 重み付きカーネル密度推定(Weighted Kernel Density estimator:WKD)と呼ばれる方法で Range-ドップラ点群に変換する独自の手法を提案しました. 図1にWKD法の解析例を示す.簡単のために人体は11個の楕円体のパーツからなり, それぞれが異なるドップラー速度を有していると仮定しています.   図1の中央は従来のフーリエ変換等に基づく処理ですが,距離・ドップラー速度推定において, 干渉や低い速度分解能により,正確な推定ができないことがわかります. これに対して、図1の右は圧縮センシングと呼ばれる超分解能法とWKD法を併用した場合であり, ほぼ正確に距離・ドップラー速度を推定することができることがわかります. 具体的には,3GHz程度の低周波マイクロ波帯でドップラ速度分解能:0.1 m/s および時間分解能 20 msec を実現させ, 距離分解能・ドップラ速度分解能・時間分解能の3つの分解能の 従来の限界を突破することができることを確認しており,これは他の手法では達成することのできない性能です(図1).

図1:人体マイクロドップラ解析例(左:観測モデル,中央:従来法,左:提案法)

ドップラーレーダによる人体形状認識

人体が運動するとき、各部位はそれぞれ異なる速度を有しています. この情報とRPM法の推定点を統合することで,同画像点に速度情報を付加させることができます. このような処理はドップラー速度を抽出するドップラーレーダにより実現することが出来ます. 上記の超分解能ドップラー速度推定法であるWKD法を適用し, ドップラー速度とRPM法を統合することで得られた推定像が図2になります。  各部位を高精度に推定するだけでなく,その点に速度情報を付加することで, より高精度に人体の認識・推定が可能になると予測されます.

図2:観測モデル(左),RPM法とドップラー速度を統合した画像化例

参考文献

  • M. Setsu, T. Hayashi, J. He, and S. Kidera, "Super-resolution Doppler Velocity Estimation by Kernel Based Range- τ Point Conversions for UWB Short Range Radars", IEEE Trans. Geoscience & Remote Sensing, Vol. 59, 2020 (in press).
  • Yoshiki Akiyama and Shouhei Kidera, " Low Complexity Algorithm for Range Points Migration Based Human Body Imaging for Multi-static UWB Radars ", IEEE Geoscience and Remote Sensing Letters., Vol.16, No.2, pp.216-220, Feb., 2019.
  • Yuta Sasaki, Fang Shang, Shouhei Kidera, Tetsuo Kirimoto, Kenshi Saho and Toru Sato, " Three-dimensional Imaging Method Incorporating Range Points Migration and Doppler Velocity Estimation for UWB Millimeter-wave Radar ", IEEE Geoscience and Remote Sensing Letters, vol. 14, no. 1, pp. 122-126, Jan., 2017.